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【書店が3倍楽しくなるブログ】板垣恵介『板垣恵介の格闘士(グラップラー)列伝』
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    いつのまにか7月も終りに近づいてきました。

    暑い!
    西日本では、すでにクラゲがわさわさ湧いてきつつあるとか。

    それほどに暑い、今年の夏。
    クーラーがんがんの日々も良いものですが、
    暑さに暑さをぶつけてみて、スパークした(?)夏を過ごすのも一興かもしれません。

    今回は、そんな暑苦しい(良い意味で)企画を題材に
    【良い企画とは?】をナベ君に語ってもらいました。

    =========================

    『板垣恵介の格闘士(グラップラー)列伝』著・板垣恵介(徳間書店)

    この本はアノ板垣恵介が書いた、作者と数々の格闘家の交流、そしてそれが
    どのように『バキ』という作品に影響しているかについて語った本です。
    随所に作者の格闘論が見え隠れする熱い本になっています。

    板垣恵介、と言われてもピンとこない人でも、累計5000万部超の
    週刊少年チャンピオン連載の大ヒット漫画『バキ』シリーズの作者、
    といえばわかりますよね。
    あの躍動で強烈な絵柄は誰もが一度は目にしたことがあるはずです。

    そんな彼が書いたこの本を「企画」として見ていきます。
    なぜわざわざ「漫画家なんか」の本を、と思うかもしれません。
    でもこの本、企画を見ていく例として実にうってつけなんです。
    本の企画を見る際に非常に重要視されることがあります。
    それは 企画者にその本を書く意義があるか です。
    わかりやすくいえば、なぜその本を書くのが当企画者ではないといけないのか、
    他の人間でもいいのではないか、という問いに
    根拠をもって企画者の必然性を証明できるか、ということです。
    自分でなくてはこの本は書けない!と言えなければならないわけですね。

    では企画者の意義、を念頭においてこの本を見ていきましょう。
    企画者すなわち著者(企画を立てたのは彼ではないかもしれませんが便宜上)の板垣恵介について。
    彼は漫画家になる以前、高校生のころは少林寺拳法をたしなみ、
    やがて自衛隊に入隊、自衛官時代にはボクシングにも手を出しアマチュアボクシングの国体にも出場、という経歴をもちます。
    格闘論を語る素養十分というわけです。

    さらに重要なのは板垣恵介は『バキ』シリーズの作者として知名度が抜群であるということ。
    先に述べたように、彼の名前を知らずともその絵柄、バキという作品名は広く知れ渡っているわけです。
    そのことを意識しているのでしょう、この本の表紙は板垣恵介のイラスト、帯には
    「バキの作者が語る熱い格闘魂!!」と書かれています。
    さらに中身は『バキ』の漫画のカットを織り交ぜた構成になっています。
    これは板垣恵介でなくてはできないことです。

    知名度の話は企画をみる際のもうひとつの重要な点にも関わってきます。
    それは 売れるかどうか。
    そりゃそーです。売れなきゃ意味がありません。
    ではそういった観点で見るとこの本はどうか。僕はクリアしている、と思います。

    それは主に
    作者の知名度が桁はずれ
    ターゲットが明確
    といった2つの理由からです。

    知名度が売上にかかわる、というのは説明は不要かもしれません。
    知名度が高いほど「読みたい」という感じる人は増えるでしょう。

    さらにターゲット設定。
    表紙は『バキ』風イラスト、帯には「『バキ』の作者」というコピー、
    中身は格闘家との交流が『バキ』に与えた影響について、
    さらにタイトルはわざわざ格闘士にグラップラーとルビをふっています。

    これほどまでに、この本は『バキ』を強く意識しています。
    『バキ』の読者層をターゲットにしているわけです。

    そんな芸当が可能なのは『バキ』の読者層がとてつもなく大きいから。
    なんたって累計5000万ですからね。
    『バキ』ファンだけをあてにしても十分な収益が見込めるはずです。
    (エヴァ考察とかスターウォーズ考察とか、あの手の本がいまだ売れ続けているのを考えればわかりやすいかもしれません)


    板垣恵介の格闘士[グラップラー]列伝」という企画には企画者の意義がある。
    そして売れるだけの理由がある。そんなわけでこの企画は優れた企画である。と言えます。

    以上、板垣恵介の格闘士[グラップラー]列伝の書評でした。
    この書評が企画を立てる際にあなたの参考になれば幸いです。

    ============================

    ナベが書いているように、いい本には「その人だから書けたなにか」が必ずあります。
    でも、それは必ずしも、板垣さんのような特殊な経験であるとは限らない。

    自分が好きなものを突き詰めて考えてみる…
    その『好きだ!』の中に、「あなただけのなにか」が見つかるかもしれませんよ。


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